私立文系の受験生にとって、社会の選択科目をどうするかは受験生として最初の大きな決断になります。しかも、この選択を間違えずに判断できるかどうかはそのあとの成績、そして志望校の合否にも非常に大きな影響を与えます。
「早慶GMARCHへの現役合格を実現する受験戦略」シリーズ、第2回のYouTube動画はこちらです。
この動画と同じ内容を以下に文章で掲載します。
(旧ホームページにもたくさんの受験情報がありますので、急いで知りたい方はそちらも合わせてご覧ください。 https://gokaku-kobo.com)
この動画は、早慶GMARCHを目指す受験生のための「受験戦略シリーズ」第2回、今回は「選択科目はどれを選ぶべきか」というテーマでお話をしていきます。
ちなみにこの「受験戦略シリーズ」はこのような内容でお届けしていますので、受験で成功したい方はぜひ他の動画もご覧になってください。
さて、私立文系の受験生にとって、選択科目というのは社会のことですね。具体的に言うと、日本史・世界史・政治経済のどれを選ぶか、という話になります。
ちなみに、数学や地理という選択肢もありますが、今回は大多数の人が選ぶ日本史・世界史・政治経済の3科目に絞って解説をしていきます。
高校によってですね、受験で使う選択科目を選ぶ時期というのはマチマチですが、だいたい高2の1学期か2学期くらいに選ぶ学校が多いと思います。その時期に社会は何を選ぶか、という選択を迫られます。
そして、多くの高校2年生がここで、何となく「まあ社会はとりあえず日本史で良っかな~」くらいの気持ちで日本史を選んでいるパターンがすごく多いですね。割合で言うと、6割の生徒が日本史、3割が世界史、1割が政治経済という感じです。
でも、ここがかなり重要です。何となく日本史を選んでしまう人が多いのですが、世の中には受験科目に日本史を選ぶべきではない受験生、選んでしまうととても苦労する、もしくは日本史が最後まで足を引っ張って志望校に届かない受験生が、ものすごく多いのです。
その理由を説明していきますね。
日本史を選ぶ人の理由の多くは「世界史は全然知らないけど、日本史なら少しは知っているから、こっちの方が出来そう」というパターンです。
なのですが、ここが大きな落とし穴です。その「少しは知っている」というのが大きな勘違いなのです。
世の中には、小学生の時から「歴史が大好き」という少年・少女が、一定数存在します。皆さんの小学校の同級生にも、クラスに1人か2人くらいは、いたはずです。
たとえば、戦国時代が大好きで、戦国大名や戦国武将の名前を何百人も覚えている子や、歴史の本や漫画を読みまくっている子たちですね。そんなやつ友達にいなかった、という人もいるかもしれませんが、世の中にはそれなりの割合で歴史ファンの子どもたちがいます。
その証拠に、本屋さんに行けば、子供向け歴史本のコーナーにたくさんの本が置いてあります。そういうコーナーが大好きな子たちがいるんですね。
そういう子たちは、歴史の映画や時代劇ドラマも家族で見ています。たとえばNHKの大河ドラマは、当たり前のように毎年見ています。
そして、その子たちが、大学受験の時に「日本史」を選択してくるんです。彼らは、マンガ日本の歴史を小学生時代に全巻読んでいます。しかも繰り返し読んでいます。それは勉強でなくて、趣味として読んでいるのです。
中学校に入ると、社会の授業ですべての中学生が一通り日本史を勉強します。でも歴史好きたちは、小学生の時に聖徳太子も徳川家康も太平洋戦争も、ほぼ頭に入っているので、楽々得意科目にしてしまいます。
一方で、歴史ファン以外の生徒たちは、日本史に対して、いちおう学校で習うから知っている、でも自分の自由時間に歴史の本を読んだり大河ドラマを観たりはしない、という感じでしょう。
そして高校の日本史。この高校の日本史というのは、ものすごく難易度が高くて難しい。なぜかというと、基本的な歴史の流れは、中学校ですでに一通り教わっているという前提で、より細かいこと、かなり専門的な内容を学習します。
いまさら、平清盛や後醍醐天皇や勝海舟が何をしたか、について学ぶのではなく、各時代の税金の制度や、経済の仕組みとか、法律の内容などを詳しく学んで大量に暗記をすることになります。
歴史ファンではない一般の高校生は、まず小中学生レベルの歴史がしっかり頭に入っていない人がほとんどです。小中学生レベルの日本史というのは、たとえば、大化の改新や南北朝の争い、江戸時代の3大改革や日清・日露戦争について、それぞれ、重要な人物を挙げながら、おおまかな流れをスラスラ説明できる、というレベルです。
信長と秀吉と家康くらいなら知っている、というのは小学生低学年レベルです。
そのような、小中学生レベルの歴史が「趣味として」頭に入ってない人が、はるかに難易度が高くて細かい高校レベルの日本史を受験科目に選択してしまうと、痛い目に会います。
小学校のころからサッカーやピアノや将棋を習っている子に、授業でやったことがある、というレベルの子が本気で勝負を挑むようなものです。とうてい勝ち目はありません。努力うんぬんでどうなる話ではないのです。
つまり、高校の日本史という科目は、スタートの時点でものすごく大きなハンデがついている、という科目なんです。じゃあ、どういう人なら日本史を選択しても良いのか、というと、日本史が「趣味として」大好きな人です。
高校生に、日本史が好きですか?と聞くと、けっこう多くの子が「まあまあ好きですよ」「点数は良い方でしたよ」という返事をします。でもそれは、学校の科目の中では好きだった、という話に過ぎません。大学受験で戦うのは、もう小学校の時から趣味として日本史が好きだった人たちなんです。
だから、選択科目を選ぶ上での「日本史は好きですか」という質問は、
「小学校の時にマンガ日本の歴史は全巻読んだか」「大河ドラマは欠かさず観ているか」「司馬遼太郎などの歴史小説を何冊も読みましたか」というレベルの質問だと考えて下さい。
この質問に、イエスと答えられる生徒は、ぜひ日本史を選択してください。逆に、ノーとしか言えない人は、日本史を避けることを強くお勧めします。
さて、次に世界史です。
結論から先に言うと、万人にオススメできるのは世界史です。
「いやあ、でも自分は日本史なら少しは知っているけど、世界史は全然知らないんだよなあ、怖くて選べない」という人も多いと思います。
でも実は日本史と違って、世界史にはハンデが無いんです。歴史ファンの子たちは、日本史は詳しく知っているけれども、世界史は皆さんと同じようにほとんど知らないんです。小中学生向けの世界史本や世界史ドラマはあまり無いんですよね。
だから、子どもたちは世界史に接する機会があまりないんですよ。日本史ばっかり詳しくなっていきます。
また、中学校でも世界史はほとんど習わないので、とにかく高校生同士の間では、世界史については、知識量の差がほとんどありません。
ですから、もし、日本史にあまり自信が無い、とても自分は歴史ファンと言えるようなタイプではない、と思うのであれば、ぜひ世界史を選択してください。
世界史はみんな何も知らないところから始まる、横一線でヨーイドンで始まる戦いです。なので、特に有利になることはありませんが、不利になることもありません。
つまり本人の努力次第で勝負できる科目なんです。そこが、最初の時点で大きなハンデがついている日本史との違いですから、日本史によほど自信がある人以外は、世界史を選択することを強くお勧めします。
さて、最後に政治経済です。
実をいうと、政治経済は、最も逆転合格の可能性が高くなる、超おススメ科目です。その最大の理由は「範囲が狭い」ということです。日本史・世界史に比べると、かなり分量が少ない。
具体的に言うと、日本史や世界史の勉強は、まず一周するのに最低でも半年かかります。それに対して、政治経済は3~4か月くらいで一週目の勉強が終わります。つまり、日本史世界史の半分ちょっとの勉強量・勉強時間で足りてしまうんですね。
たとえば、日本史世界史を選択した人が、1年くらい必死に勉強しても60点くらいしか取れない、そんな状況でも政治経済を選択した人が数か月の勉強で80点以上取れてしまうようなことがよくあります。政治経済の勉強はほんとに負担が少ないです。
ただし、もちろん政治経済のデメリットもあります。主に2点です。
1点目は、政治経済では受験できない大学・学部が存在すること。たとえば、早慶GMARCHレベルで言うと、慶応や上智は政治経済選択では受験できません。立教大学も受験は出来ますが日程的に不利になります。
また、どの大学でも「文学部」系統は政治経済では受験できません。なので、どうしても上智や立教に行きたい人、文学部系に行きたい人は、その時点で政治経済は選択肢から外れることになります。
逆に言うと、上智や立教にこだわりはない、文学部に行くつもりもなく、法学部や経済学部などを中心に考えている、という人にとっては、政治経済はかなりお勧めできる科目です。
デメリットの2点目は、日本史と似ているのですが、政治経済という科目にも「向き・不向き」がある、ということです。政治や経済の話題が好きでないと、勉強しても勉強しても頭に入ってこない、ということは充分あり得ます。
では、どういう人なら政治経済に向いているかというと、「ニュースを見るのが好きな人」です。日頃から、政治や社会問題に関心がある人なら、政治経済を楽しく勉強できるでしょう。
理想を言うなら「テレビのニュースを毎日欠かさず観るのはもちろん、新聞を読むのも好き」という人ですね。え、そんな高校生いるの?と思う人もいるかもしれませんが、たまたま君の周りにいないだけで、広い世の中にはそういう人もたくさんいるんです。そしてそういう人たちが早慶GMARCHのような一流と言われるような大学に入っていくのです。
「歴史が大好き」「ニュースや新聞が大好き」という教養レベルの高い高校生は、トップレベルの進学校にはゴロゴロいます。
早慶GMARCHを目指すというのは、まず、そういう人たちとの戦いであること、そしてその戦いで逆転合格を実現するためには、一生懸命頑張るのは最低限の話であって、勉強を頑張るうえに、相当な工夫がいる、つまり戦略が重要だということを理解してもらえればと思います。これはそのための動画です。
まあ、とにかくですね、なーんにも考えずに「みんなが日本史を選んでいるから日本史」「日本史なら少しは知っているから日本史」という選択をしている時点で、受験戦略的にはもう負けであって、逆転合格どころか、ある程度の大学に入るのにも苦労する羽目になります。
ぜひ、この動画を参考にしてもらって、より高い確率で受験を成功させるためには、自分はどの科目を選ぶべきなのか、ということについて、よーく考えていただきたいと思います。
さあ、いかかだったでしょうか。今回は受験戦略論の第2回目「選択科目をどうするか」という話をしてきました。
次回は第3回「国公立を併願するべきかどうか」というテーマで解説をしていきます。
それでは、また次回の動画でお会いしましょう。
みなさんの受験勉強を応援しています!